甲状腺内科

バセドウ病の治療について

01/10/2017

バセドウ病の治療について

バセドウ病治療イメージ

抗甲状腺薬には「メルカゾール」と「チウラジール(プロパジール)」がある

抗甲状腺薬には「メルカゾール」と「チウラジール(プロパジール)」の2種類があります。1錠あたりの効き目はメルカゾールの方がやや強めですが、基本的にはどちらを選んでも問題ありません。ただし、授乳中や妊娠を希望する場合は、チウラジール(プロパジール)が推奨されます。服用後に苦みを感じることがありますが、これは薬の特性であり、副作用ではありません。

抗甲状腺薬の開始量は症状により異なります

抗甲状腺薬の服用開始量は、甲状腺機能亢進症の程度によって異なります。甲状腺の専門家の間でも統一された基準はなく、患者さん一人ひとりの病状や体力に合わせて調整されます。一般的には、メルカゾールなら1日3〜6錠、チウラジール(プロパジール)なら4〜6錠から始めることが多いです。

甲状腺機能の正常化には平均6週間かかります

抗甲状腺薬を服用し始めると、平均して6週間ほどで甲状腺機能が正常に戻ります。ただし、体調が良くなったからといって自己判断で薬を中止するのは危険です。この時期でも甲状腺機能亢進症の原因となる抗体は正常化していないため、薬を止めると症状が再発してしまいます。早く回復するためには、無理をせず安静に過ごすことが大切です。

副作用への対応

抗甲状腺薬で最も多い副作用は、じんましんなどの皮膚のかゆみです。軽い場合はかゆみ止めやアレルギー薬で対応できますが、重い場合はヨードを含む薬に切り替え、症状が治まった後に別の抗甲状腺薬へ変更します。無顆粒球症や肝機能障害といった重篤な副作用が出た場合は、入院治療が必要になることもあります。

重篤な副作用は内服開始2週間〜3ヵ月が注意期間

無顆粒球症は500~1000人に1人の頻度で発生し、重篤な肝機能障害もまれに見られます。これらの副作用は、服用開始から2週間〜3ヵ月の間に起こりやすいとされています。特に扁桃腺の痛みや高熱(38℃以上)が出た場合は注意が必要です。症状がなくても、定期的な血液検査で副作用チェックを行うことが大切です。

治療終了までには通常2年以上かかります

抗甲状腺薬の治療を終了するためには、通常2年以上の服用が必要です。薬を1日おき1錠に減らし、甲状腺機能を正常に保ち続けた状態を1年以上維持できた場合に、ようやく中止が検討されます。加えて、抗体の正常化も重要な条件です。

薬を中止しても再発する場合があります

薬の服用を中止しても、30〜40%の方は半年〜1年以内に甲状腺機能亢進症が再発します。このため、最近では副作用が出ておらず、少量の薬でコントロールできている場合は、無理に中止せずに服用を継続する選択肢も提案されるようになっています。

5年以内に寛解できるのは約40%

抗甲状腺薬による治療で5年以内に寛解(内服中止後、1年以上甲状腺機能が正常)できるのは、全体の約40%です。特に、治療前から甲状腺が大きい方や抗体値が高い方は寛解しにくい傾向があります。寛解後も定期的なフォローアップが必要です。

甲状腺の腫れが小さくなることはあまり期待できません

抗甲状腺薬治療の目的は、甲状腺機能亢進症の原因となる抗体を正常化することです。甲状腺腫が目立たなくなることは治療の目標ではなく、多くの場合、腫れはあまり小さくなりません。腫れの縮小を重視する場合は、手術や放射性ヨード治療を検討する方がよいでしょう。

内服中止後、持続的な機能低下症になることはほとんどありません

手術や放射性ヨード治療では持続的な甲状腺機能低下症になるリスクがありますが、内服治療ではこのリスクは非常に低いです。もし機能低下症になった場合も、甲状腺ホルモン薬を服用することで問題なく生活できます。

ヨード制限について

内服治療中のヨード制限については意見が分かれるところですが、日本の甲状腺専門医の多くは「ヨード制限は必要ない」と考えています。ヨード制限は社会生活上の負担も大きいため、日本では一般の食生活を続ける形で問題ありません。

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