良性の甲状腺腫瘍
甲状腺腫瘍は良性・悪性腫瘍に分かれます。良性腫瘍には濾胞腺腫や腺腫様甲状腺腫があります。悪性腫瘍には乳頭癌、濾胞癌、髄様癌、低分化癌、未分化癌があります。甲状腺原発悪性リンパ腫も悪性腫瘍と分類していいでしょう。これらの診断には、甲状腺エコー検査(超音波検査)と穿刺吸引細胞診を行います。
良性の甲状腺腫瘍にはどんなものがあるのでしょうか。
腺腫様甲状腺腫
良性のしこり(結節)で、エコーで1個だけのものを腺腫様結節、複数個みられ甲状腺全体が腫れているものを腺腫様甲状腺腫と呼びます。2cm以上のしこりは穿刺吸引細胞診を行いますが、小さくて悪性を疑わないしこりは6か月ごとの定期的なエコー検査で経過をみていきます。ほとんどのものは大きくなることはなく、稀に縮小することもあります。圧迫症状が強かったり美容的な問題がある場合、癌の合併が疑われる場合には外科治療をお勧めすることもあります。
甲状腺嚢胞
甲状腺内に液体の入った袋状のしこりができる病気です。嚢胞が大きくなり圧迫感があるときには穿刺排液(採血用の針を刺して中の液体を抜く)したりPEIT(嚢胞の中にアルコールを入れて縮めてしまう)をすることもありますが、気にならない場合には経過観察します。
小学校低学年から高校生では約半数に嚢胞がみられますが、大人になるにつれて消えてしまう方が多いです。ときに嚢胞内に出血し痛みを伴う場合がありますが、数日で痛みは消失します。
濾胞腺腫
甲状腺の良性腫瘍です。エコー検査、穿刺吸引細胞診、血液検査を行っても悪性である濾胞癌との鑑別が難しい場合が多いです。基本的には6か月ごとに経過を観察します。検査上良性であっても、腫瘍の大きさが4cm以上である、触診で硬くなっている、経過中に徐々に大きくなっていく、などの場合は手術療法を考慮します。