🔎 甲状腺の「しこり」と言われた方へ
健診などで「甲状腺にしこりがある」「腫れている」と指摘され、不安に感じる方は少なくありません。甲状腺のしこり(結節)には、良性のものから、悪性(がん)まで様々なタイプがあります。
本ページでは、甲状腺のしこり全体について、その原因や必要な検査、よくある質問などを総論的にまとめています。

しこりの原因は?
- 良性結節:腺腫様甲状腺腫、嚢胞など
- 慢性炎症による腫大:橋本病(慢性甲状腺炎)
- 悪性腫瘍:乳頭癌、濾胞癌、髄様癌など
- 一過性の炎症:無痛性甲状腺炎、亜急性甲状腺炎など
どんな検査が必要?
- 甲状腺エコー検査(しこりの形状・大きさ・血流など)
- 採血(ホルモン値、抗体、腫瘍マーカー)
- 必要に応じて穿刺吸引細胞診(FNA)やCT検査
📌 自立性機能性甲状腺結節(AFTN)とは?
自立性機能性甲状腺結節(AFTN:Autonomously Functioning Thyroid Nodule)は、甲状腺の一部が腫瘍化し、TSH(甲状腺刺激ホルモン)に関係なくホルモンを過剰に産生する良性腫瘍です。結節部分のみが過剰にホルモンを分泌することで、甲状腺中毒症の原因になることがあります[1]。
🧬 原因と特徴
- 多くはTSH受容体やGsαタンパクの遺伝子異常が原因[2]
- ホットノード(シンチグラフィーで濃染)として検出される
- 腫瘍の大部分は濾胞腺腫などの良性病変であり、がんではありません
🔍 検査の流れ
- 採血:FT3・FT4上昇、TSH低下(抑制)
- 甲状腺超音波(エコー)検査:内部構造や血流、石灰化の有無を評価
- アイソトープシンチグラフィー(123Iまたは99mTc):結節のホルモン産生能を評価[1][3]
💊 治療の選択肢
- 外科的切除(甲状腺葉切除):結節が大きい・若年者・審美的問題がある場合
- 放射性ヨウ素治療(131I):高齢者・再発例・手術困難例などに適応[1]
- 抗甲状腺薬(チアマゾール等)は一時的な対症療法として使用されることがある
🏥 しもやま内科での対応
しもやま内科では、甲状腺専門医が血液検査・エコーを実施し、必要に応じてアイソトープ検査が可能な連携病院に紹介しています。AFTNの診断と治療方針についても、患者様の年齢・病態に応じてご提案いたします。
疑わしい症状がある方は、お早めに専門医の診察を受けましょう。
[1] 日本甲状腺学会 編. 甲状腺腫瘍診療ガイドライン2022. 金原出版
[2] Dumont JE et al. Thyroid autonomy and mutations of the TSH receptor. Endocr Rev. 1992; 13(3):420–435.
[3] 日本核医学会. 核医学診療ガイドライン 2023(甲状腺疾患).
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📄 よくあるご質問(FAQ)
良性結節の可能性は?
多くは良性ですが、検査によって慎重に評価します。
橋本病が原因のこともありますか?
自己免疫による慢性甲状腺炎(橋本病)で腫れる場合があります。
採血では何がわかりますか?
ホルモンバランスや自己抗体、腫瘍マーカーなどが確認できます。
FNA細胞診は痛みがありますか?
局所麻酔をすることもあり、数分で終わる簡単な検査です。
経過観察で済むこともありますか?
小さくて良性と判断された場合は、定期的な超音波検査での経過観察となります。
👨⚕️ この記事の監修医師
しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医
日本循環器学会 循環器専門医
日本老年医学会 老年病専門医・指導医
日本甲状腺学会 甲状腺専門医糖尿病、甲状腺、副腎など内分泌疾患の診療に長年従事し、地域密着型の総合内科医として診療を行っています。