尿酸値(血清尿酸値)が高めの方が痛風や腎障害を防ぐために押さえておきたい“食事療法のコツ”を、日常で実践しやすい形にまとめました。
ポイントは
①プリン体の摂取を適切にコントロール
②尿酸を尿に溶かして排出しやすくする
③体重管理
④アルコールとの付き合い方
⑤加工食品・甘味料に注意、の5本柱です。
1. プリン体のコントロールは「極端にゼロ」より「過剰を避ける」
食品カテゴリー | 目安量(1食または1日) | 注意点と代替のヒント |
---|---|---|
レバー・白子・干物・かつお節 | できるだけ控える(週1以下) | プリン体が突出して多い食品。食べる場合は少量&野菜料理をプラス |
赤身魚(まぐろ赤身・さんま等)・肉類 | 1回 60‑80 g(手のひら大) | ゆでこぼし・煮汁を捨てるとプリン体約1〜3割減 |
えび・かに・貝類 | 1日 100 g程度まで | うま味が強いがプリン体高め。具材に野菜や豆腐を混ぜかさ増し |
大豆・きのこ・海藻 | 制限なし | プリン体は中程度だがカリウム・食物繊維が排泄を助ける |
乳製品・卵 | 制限なし | 低プリン体+良質なたんぱく源。朝食に牛乳 or ヨーグルトを習慣化 |
覚えておくとラク:1日プリン体摂取量の目安は 400 mg未満。食材を厳密に暗記しなくても、“内臓・干物系は控えめ、肉魚は手のひらサイズ、汁は飲まない”を押さえると近づけます。
2. 尿を「弱アルカリ性」に寄せて排泄促進
- 野菜・海藻・果物を1日350 g以上
カリウム・クエン酸・マグネシウムが尿をアルカリ化。特に- クエン酸:レモン・グレープフルーツ・梅干し
- カリウム:ほうれん草・切干大根・わかめ
- 水分 1.5〜2 L/日 を目安にこまめに(カフェイン飲料は利尿作用、アルコールは脱水に注意)
- 乳製品のカルシウム・カゼインも尿酸排泄を助けると言われるので低脂肪牛乳・無糖ヨーグルトを積極的に。
3. 体重管理:BMI 25未満へ徐々に
内臓脂肪が増えると尿酸の産生↑&排泄↓。
- 1か月に体重の 2〜3 %減 を目安に(例:80 kg→1.6‑2.4 kg減)
- “主食を茶碗8→6分目” “揚げ物を週2→週1に”など総エネルギーを日‑200 kcalほど削ると無理が少ない。
4. アルコールは「量・種類・飲み方」の3Sで調整
種類 | プリン体 | 推奨上限※ |
---|---|---|
ビール・発泡酒 | 高め | 中瓶1本(500 mL)/日 |
ワイン(赤・白) | 低 | グラス2杯(240 mL)/日 |
ウイスキー・焼酎(蒸留酒) | 極低 | 60 mL(ダブル1杯)/日 |
日本酒 | 中 | 1合(180 mL)/日 |
※痛風・高尿酸血症の治療中なら 「休肝日週2+1日の純アルコール20 g以下」 を目安に。
ポイント:空腹で飲まない/水をチェイサーに/深夜の締めラーメンを避ける。
5. 加工食品・甘味料にも目配り
- **果糖(フルクトース)**は肝臓で尿酸を急増させる
- 清涼飲料水、エナジードリンク、果糖ブドウ糖液糖入りRTDカクテルは極力控える
- 高脂肪のお菓子・ファストフードはカロリー過多+果糖や動物性脂肪による排泄抑制がダブルで影響
- **加工肉(ハム・ソーセージ)**はプリン体+塩分が腎負担。主菜はゆで鶏や魚の塩麹漬けにシフト
今日からできるミニ習慣
- 朝一杯の水+ヨーグルトでスタート
- 昼は野菜たっぷりの“汁なし”麺 or 雑穀ご飯の定食
- 夜は肉魚を手のひら分+温野菜山盛り
- ビール→炭酸水割りハイボールに置き換え(蒸留酒+水でプリン体&糖質カット)
- 寝る前にコップ1杯の水で夜間の尿酸濃縮を防ぐ
よくある疑問Q&A
Q. プリン体ゼロの発泡酒なら好きなだけ飲んでOK?
A. いいえ。プリン体は少なくてもアルコール自体が尿酸産生を増やし排泄を阻害します。総アルコール量を守る方が重要。
Q. サプリメントで尿酸値は下がる?
A. DHA/EPA、ケルセチン、乳酸菌株など研究はありますが、医薬品ほどの効果は確認されていません。過信せず基本は食事と運動。
Q. 納豆やほうれん草はプリン体が多いって聞くけど?
A. 含有量は中程度。ポーション当たりなら過剰になりにくく、むしろ栄養とアルカリ化効果がメリット。
まとめ
- 「内臓・干物系は控え、肉魚は手のひらサイズ、汁は残す」
- 「野菜+水でアルカリ化し、体重を月2 %ペースで落とす」
- 「アルコールは休肝日を設け、純アルコール20 g/日以内」
- 「果糖入り飲料・加工食品を避ける」
これらを“全部一気に”ではなく、できる項目から1〜2週間かけて習慣化すると長続きします。無理のない範囲で生活に取り入れてみてくださいね。