肥満症の治療目標

22/05/2018

肥満症の治療目標

肥満症の治療の目標

肥満症の治療には、明確な目標設定が必要です。

日本肥満学会が提唱する「肥満症診療ガイドライン 2016」は従来の肥満症のコンセプトを踏襲し、診断と治療を統合した内容となっています。

従来との違いとして、BMI 25~35の肥満症とBMI 35以上の高度肥満症を区別した点が挙げられます。高度肥満症では睡眠時呼吸障害や心不全、肥満関連腎臓病、運動器疾患、静脈血栓症、皮膚疾患などが生じやすくなります。また精神的問題を伴っていることも多く、肥満症とは異なる個別の治療,管理が必要であることが記されています。

減量目標が肥満症では現体重の3%、高度肥満症では5~10%になりました。従来,肥満症での減量目標は3~6カ月間で5%とされていました。新しい目標値設定の根拠として、2008年に開始された特定健康診査・特定保健指導の成績が示されています。この成績では1~3%の減量でコレステロールや中性脂肪、HbA1c、肝機能の有意な改善が認められ、3~5%の減量で血圧、尿酸、空腹時血糖の有意な改善が認められています。

【文献】

1) 日本肥満学会, 編:肥満症診療ガイドライン2016. ライフサイエンス出版, 2016.