糖尿病内科

2型糖尿病と動脈硬化リスク

22/06/2015

2型糖尿病と動脈硬化リスク

2型糖尿病に加え50年来の肥満,脂質異常症,高血圧症といったマルチプルリスクが並存し,メタボリックシンドロームを呈している症例は糖尿病患者さんに珍しいことではない.

そのような糖尿病患者さんにおいては,網膜症,腎症など糖尿病細小血管障害は軽微であるにも拘らず,大血管障害は著しく進行してしまう.

2型糖尿病に加えてマルチプルリスクの集積が大血管障害の進展において重要な役割を果たすと考えられる.

UKPDSでは,厳格な血糖管理により網膜症や腎症などの細小血管症は有意に抑制されるものの,心筋梗塞や脳血管障害といった大血管症に対しては有意な改善は認められないことが示唆された.即ち肥満を基盤としたインスリン抵抗性状態では糖尿病をはじめ高血圧,高脂血症といったマルチプルリスクが集積し,動脈硬化ならびに心血管イベントをもたらすため,糖尿病の動脈硬化は単一のリスク軽減では防ぎきれないと考えられる.

糖尿病患者さんにおいてもLDL-Cと血圧のコントロールは比較的良好であるが他のファクターのコントロールが不良であり,イベントを防ぎきれないものが少なくない.

Steno-2studyは2型糖尿病患者を対象に「通常療法群」と血糖のみならず他のリスクファクターも同時に徹底してコントロールする「強化療法群」に割付し,心血管イベントを抑制できるか否かを検討したものであったが,強化療法群では,通常療法群に比べて53%も心血管イベントの発生率が減少した.即ち,マルチプルリスクを同時に包括的に管理することにより,イベント発症を抑制できることが示唆され,糖尿病患者さんのようなマルチプルリスクを合併した糖尿病患者の診療においては,このようなリスクファクターの包括的な管理が必要であると考えられた.

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