コバシル(ペリンドプリル)は組織親和性の高いACE阻害薬

20/08/2010

コバシル(ペリンドプリル)は組織親和性の高いACE阻害薬


組織親和性の高いACEにはコバシル(ペリンドプリル)、ゼストリル・ロンゲス(リシノプリル)、オドリック・プレラン(トランドプリル)がある。組織親和性の高いペリンドプリルは脳内移行性も高い。ペリンドプリルはアルツハイマー病患者における認知機能低下抑制効果を示すとする論文がある。効果発現の機序は不明であるが、以下のように推測されている。

脳組織親和性ACE阻害薬が脳内に過剰発現しているACE活性を抑制し、神経細胞シナプス間隙のアセチルコリン遊離を促進することで認知機能を改善する。

アルツハイマー病病態の本質であるアミロイドベータ蛋白の脳内蓄積を抑制する

脳内ACE活性の亢進は、ACEの基質の一つであるサブスタンスPの分解を促進する。サブスタンスPは、アミロイドβ蛋白の分解酵素であるニュートラルエンドペプチダーゼ(NEP)でも代謝される。ACE阻害薬で脳内のACE活性を低下させてサブスタンスPが増えれば、NEPの活性が亢進し、アミロイドβ蛋白の脳内での蓄積が抑制される可能性がある。脳内移行性(中枢作用性)ACEIは認知症のリスクを減らし、非脳内移行性(非中枢作用性)ACEIはリスクを上昇させることが報告されている。認知症の患者さんにACEIを使用するなら、コバシルがひとつの選択肢になるだろう。

また、ACE阻害薬にはARBにはない血管新生作用がある。心筋虚血や脳虚血の既往のある患者さんにはARBではなくあえてACEIを処方することも考えて良いだろう。