心不全の薬物療法|第一選択薬・追加薬・用量調整の実践|しもやま内科(船橋市)

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慢性心不全の薬物療法はARNI/ACE阻害薬/ARB・β遮断薬・MRA・SGLT2阻害薬が基本の四本柱です。
血圧・心拍・腎機能・電解質を確認しながら、少量開始・段階的増量で最適化します。しもやま内科では循環器専門医が安全性に配慮し、院内検査と併せて調整します。

心不全の薬物療法:ARNI・ACE/ARB・β遮断薬・MRA・SGLT2阻害薬の要点

慢性心不全に対する薬物療法のまとめ

心不全治療は病態の悪循環(交感神経・レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系の亢進、体液貯留)を是正する薬物療法が中心です。
基本となるのは ARNI/ACE阻害薬/ARB・β遮断薬・MRA・SGLT2阻害薬(必要に応じて利尿薬などを追加)。個々の患者さんの血圧・脈拍・腎機能・電解質・併存症を踏まえて、少量から開始し段階的に目標用量へ近づけます。

β遮断薬

心不全で亢進した交感神経活性を抑えることで予後を改善します。
日本で心不全に適応のあるβ遮断薬:カルベジロール、ビソプロロール(※メトプロロール徐放は国内未承認)。
カルベジロールは血圧低下作用がやや強く、ビソプロロールは心拍数低下が主体です。
気道過敏(喘息/COPD等)がある方にはβ1選択性の高いビソプロロールが相対的に使いやすいことがあります。
置換の目安として、経験的にカルベジロール:ビソプロロール≒1:4程度で調整することがあります(個別性に応じて調整)。

β遮断薬のイメージ
β遮断薬

利尿薬

うっ血(体液貯留)を是正し、呼吸困難や浮腫などの症状を改善します。
副作用:脱水、低血圧、電解質異常、耐糖能への影響など。
トルバプタンは利尿効果が強く、口渇・脱水に注意が必要です(必要な範囲での水分摂取指導を行います)。

ACE阻害薬 / ARB / ARNI

RAA系の過剰活性を抑え、心筋リモデリングを抑制します。空咳などでACE阻害薬が使いづらい場合はARBへ置換します。
ACE阻害薬:エナラプリル、リシノプリル(国内で心不全保険適用)。
ARB:心不全のエビデンスはロサルタン・カンデサルタン・バルサルタンなどに集積。国内保険適用はカンデサルタン。
ARNI(サクビトリル/バルサルタン)は適応に応じてACE/ARBに置き換える選択肢で、導入時は血圧・腎機能・Kのモニタリングが必須です。

RAAS阻害薬(ACE/ARB/ARNI)のイメージ
RAAS阻害薬の考え方

MRA(ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬)

アルドステロン作用を抑制し、予後を改善します。
注意:腎機能・高カリウム血症のリスクに留意して導入・増量します。

SGLT2阻害薬

本来は糖尿病薬ですが、糖尿病の有無を問わず心不全の再入院抑制などの効果が確認されています。
導入時は脱水・血圧低下・腎機能の初期変動・尿路感染などに注意します。

その他(状況に応じて)

  • 利尿薬の最適化(ループ+サイアザイド系の併用など)
  • 心拍数制御薬(イバブラジン等、適応に応じて)
  • 鉄欠乏の評価と補充(静注鉄など)

その他の新しい心不全治療薬は、
心不全に対する新しい治療薬をご参照ください。

心不全治療のご相談・内服の見直しは循環器専門医へ

しもやま内科では院内検査(心エコー・心電図・採血等)で安全に導入・調整します。

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※ 内服の開始・増量・置換は、診察と検査で安全性を確認しながら行います。独断での中止・変更は避け、必ず医師にご相談ください。

20/07/2019