🔊 要点
子どもや思春期は成長・ホルモン変化の影響で症状が大人と異なります。
「体重変化・学業や部活のパフォーマンス低下・脈の異常・首の腫れ」が続くときは、早めに小児基準での採血(TSH/FT4)とエコーが役立ちます。

小児・思春期の甲状腺は成長・発達・学校生活と密接に関わります。大人と同じ症状でも、学業・集中力・身長体重の推移・月経に表れやすいのが特徴です。
当院では小児基準範囲での採血(TSH, FT4[±FT3])と甲状腺エコーを起点に、必要時は学校生活や部活動の調整まで一体で支援します。
1. こんなサインは要注意
- 体重変化・食欲変化(増減ともに)/身長の伸びが急に鈍い・加速した
- 学業・部活のパフォーマンス低下(集中困難・疲れやすさ・不眠/過眠)
- 脈の異常(動悸・脈が速い/遅い・スマートウォッチの不整通知)
- 首の腫れ(びまん性腫大や結節)・嗄声・嚥下違和感
- 情緒の変化(不安・いらいら・気分の落ち込み)/月経不順
2. 検査・診療の流れ(小児基準で判断)
- 初診:症状・成長曲線・学校/部活の状況を確認。必要に応じ心電図。
- 同日採血:TSH・FT4(±FT3)・自己抗体(TPOAb/TSHRAb など)、肝腎機能・血算。
- 甲状腺エコー:びまん性炎症・血流・結節評価。疼痛の有無も確認。
- 治療:病型に応じ内服調整。学校生活(体育・熱中症・試験日程)と両立を計画。
- フォロー:数週〜数か月で再評価。思春期は心身の変化に合わせ用量・通院間隔を微調整。
3. 主な病型(子ページへのハブ)
小児・思春期バセドウ病
動悸・体重減少・集中困難/治療と学校生活の両立
橋本病・機能低下症
倦怠感・学習効率低下・体重増/レボチロキシン調整
無痛性・亜急性甲状腺炎
一過性の亢進→低下/痛みの有無・運動可否
小児の甲状腺結節
精査の組み立て(エコー・必要時穿刺)
小児の基準範囲と採血の見方
年齢で変わるTSH/FT4の読み方
学校・部活への配慮
体育参加・熱中症対策・試験前対応
食事・ヨウ素・サプリ
海藻・サプリの注意点/過不足
成人診療への移行(トランジション)
高校〜大学への引き継ぎ
4. 学校・部活でのポイント
- 体育/部活:機能亢進期の脱水・熱中症に注意。安定までは強度調整。
- 試験・受験:集中困難・不眠・動悸がある場合は治療優先で計画。
- 保健室/学校連携:内服・通院予定を共有。体調急変時の連絡体制を確認。
5. 受診の目安
- 動悸・手のふるえ・体重減少/極端な疲れやすさ・体重増・眠気
- 首の腫れ・痛み・嗄声・嚥下違和感
- 学業成績や部活パフォーマンスが急に低下した
- 月経不順/情緒の不安定が続く
👨⚕️🩺 この記事の監修医師
下山 立志(しもやま たつし)
しもやま内科 院長/日本甲状腺学会 甲状腺専門医 ほか
しもやま内科 院長/日本甲状腺学会 甲状腺専門医 ほか