DPP-4阻害薬で重大な関節痛、FDAが警告。
FDA Drug Safety Communication: FDA warns that DPP-4 inhibitors for type 2 diabetes may cause severe joint pain
https://www.fda.gov/downloads/Drugs/DrugSafety/UCM460038.pdf
2015年8月28日、米国FDAがDPP-4阻害薬のよる重症関節痛の警告と注意喚起を行うことを発表しました。
2006年10月から2013年12月の間に、FDA有害事象報告システムに33例の重症関節炎の報告が報告されているとしています。33例中23例では、DPP-4阻害薬を辞めると1ヶ月以内に関節痛が軽快したとしています。33例の内訳はシタグリプチン28例、サキサグリプチン5例、リナグリプチン2例、ビルダグリプチン2(米国未承認)、アログリプチン1。うち5例では2つの異なる成分のDPP-4阻害薬で発現したそうです。症状は22例で使用開始後1か月以内に発現、再投与による症状の再発現もあったそうです。
DPP-4の別名、CD26分子はヒトT細胞の活性化抗原として確立されています。DPP-4の阻害は免疫系に何らかの影響を与えるのではと言われ続けていますが、はっきりしていません。まだシタグリプチンが発売されたばかりの頃、シタグリプチン処方例で慢性関節リウマチが出て、リラグルチドで治療したら治ったという症例報告を聴いたことがありました。DPP-4阻害薬で慢性関節リウマチは増えないというコンセンサスが出来てきたと感じていましたが、今回の警告でどうなるのか注意深く見ていかねばなりません。DPP-4阻害薬は各種、糖尿病患者さんにも幅広く処方されています。関心を持って見て行きたいです。