甲状腺内科

亜急性甲状腺炎|最新診断基準と治療のポイント|無痛性との違いを表で解説

19/06/2017

亜急性甲状腺炎とは

亜急性甲状腺炎

亜急性甲状腺炎

このページの要点まとめ

  • 亜急性甲状腺炎は、ウイルス感染などがきっかけで一過性の甲状腺炎が起こる疾患です
  • 主な症状は首の痛み、発熱、甲状腺の腫れ、一時的な甲状腺ホルモンの異常など
  • 治療は対症療法(消炎鎮痛薬やステロイド)が中心で、自然軽快することもあります
  • 無痛性甲状腺炎との鑑別には、臨床経過と炎症反応(CRP)などが重要です
  • しもやま内科では甲状腺専門医が診断・治療を行っています

亜急性甲状腺炎は、ウイルス感染後に発症すると考えられる有痛性の破壊性甲状腺炎です。発熱や頸部痛を伴い、一時的に甲状腺ホルモンが過剰となる(甲状腺中毒症)ことがあります。通常は数週間から数ヶ月で自然に改善しますが、適切な診断と治療が重要です。

診断基準(日本甲状腺学会 2024年改定)

項目内容
定義有痛性の破壊性甲状腺炎による甲状腺中毒症
臨床所見有痛性甲状腺腫
検査所見1. 赤沈またはCRP高値
2. 遊離T4高値、TSH低値
3. 超音波で疼痛部に一致した低エコー域
診断臨床所見および検査所見の全てを満たす場合に診断
除外規定橋本病の急性増悪、嚢胞出血、化膿性甲状腺炎、未分化癌など
付記・上気道感染症状を前駆とすることあり
・疼痛が反対側に移動する(クリーピング現象)
・回復期に機能低下症を呈することがある

出典:日本甲状腺学会「甲状腺疾患診断ガイドライン」2024年11月21日改定

無痛性甲状腺炎との鑑別

亜急性甲状腺炎と無痛性甲状腺炎は、共に破壊性甲状腺炎で一時的に甲状腺ホルモンが上昇しますが、以下の点で鑑別が可能です。

項目亜急性甲状腺炎無痛性甲状腺炎
疼痛ありなし
発症背景上気道感染後出産後に多い
炎症反応CRP・赤沈上昇軽度または正常
甲状腺摂取率低下低下
抗TSH受容体抗体陰性または稀に陽性陰性
経過自然寛解、回復期に機能低下あり自然寛解、回復期に機能低下あり

亜急性甲状腺炎と無痛性甲状腺炎の鑑別について詳しくはこちら

治療と経過

症状の程度に応じて、以下のように治療を行います:

  • 軽症例:NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)
  • 中等症以上:プレドニゾロン15~40mg/日から開始し、症状に応じて減量
  • 甲状腺中毒症状が強い場合:β遮断薬を併用

多くの場合、数週間~数ヶ月で改善しますが、機能低下が残る例ではホルモン補充が必要になることもあります。

首の痛み・腫れ・発熱がある方は、早めにご相談ください

亜急性甲状腺炎は、ウイルス感染後に甲状腺に炎症が起こる疾患です。
しもやま内科では、甲状腺専門医が迅速に診断・治療を行っています。


▶ 首の腫れや痛みでお困りの方はこちら(047-467-5500)

まとめ

亜急性甲状腺炎は自然に改善する病気ですが、痛みが強く生活の質を下げることもあります。自己判断せず、早めに甲状腺専門医の診察を受けましょう。
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