高カルシトニン・CEAを指摘された方へ(髄様癌の可能性と次の一歩)
カルシトニン・CEAの高値には、検査条件や薬剤による“偽陽性”が混ざることがあります。
焦らず再検の条件を整え、甲状腺エコーや追加評価を段階的に行います。髄様癌が疑われる場合は、
遺伝学的評価(RET/MEN2)や専門連携を含め、最適な次の一歩をご案内します。

検診や他院の採血でカルシトニン高値(時にCEA高値)を指摘されることがあります。
ただし、すべてが甲状腺髄様癌(MTC)を意味するわけではありません。
まずは再検の条件整備と、甲状腺エコーを中心とした追加評価を段階的に行い、必要に応じて専門連携へ進みます。
1. 偽陽性になりやすい状況(まず整えるポイント)
- 薬剤:プロトンポンプ阻害薬(PPI)など一部薬剤で上昇が見られることがあります。
→ 主治医の指示のもと、一時中止や同一法での再検を検討します。 - 採血条件:採血時間帯、食事、喫煙等の影響が混ざることがあります。
→ 条件を合わせて同じ検査法で再検すると解釈が安定します。 - その他:腎機能や併存症の影響、検査間のばらつき(アッセイ差)も考慮します。
2. まず行う評価:甲状腺エコー+採血の見直し
- 甲状腺エコー:結節の有無・性状(石灰化、形状、血流など)を評価します。
- 腫瘍マーカー:カルシトニンとCEAを条件を揃えて再検し、推移を確認します。
- 必要に応じて:穿刺吸引(FNA)や細胞診・免疫染色等を検討します。
3. 髄様癌が疑われる場合の追加ステップ
- 全身・合併評価:頸部リンパ節、必要に応じて追加画像評価。
- 術前の安全確認:髄様癌の一部はMEN2(RET異常)に関連します。
→ 手術計画前に、副腎の評価(褐色細胞腫の除外)が必要となることがあります。 - 遺伝学的評価:主治医と相談のうえ、RET遺伝学的検査や家族歴の聴取を行います。
4. 再検のタイミングと“次の一歩”
- 偽陽性要因を整えたうえで、一定期間内に再検し、動きを確認します。
- 数値・エコー・診察所見を総合し、外科・遺伝専門との連携が必要か判断します。
- 不安が強い場合は、説明外来で検査順序や見通しを丁寧に共有します。
5. 受診の目安(迷ったらご相談ください)
- カルシトニンやCEAの明らかな高値・上昇傾向がある。
- エコーで結節が見つかった、あるいはリンパ節が気になると言われた。
- 家族歴(甲状腺・副腎等)があり心配。
ご相談は しもやま内科(船橋市)
お電話:047-467-5500 / アクセス
この記事の監修医師
しもやま内科 院長 下山 立志(日本内科学会 総合内科専門医/日本糖尿病学会 専門医・指導医/日本循環器学会 循環器専門医/日本老年医学会 老年病専門医・指導医/日本甲状腺学会 甲状腺専門医)
しもやま内科 院長 下山 立志(日本内科学会 総合内科専門医/日本糖尿病学会 専門医・指導医/日本循環器学会 循環器専門医/日本老年医学会 老年病専門医・指導医/日本甲状腺学会 甲状腺専門医)