🔊 このページの要点
病状が安定していても、甲状腺の通院は定期的な採血・エコーが大切です。
ここでは疾患別に「受診の頻度・検査の目安・要注意サイン」をまとめました。迷ったときは早めにご相談ください。

この表の使い方:
- あくまで一般的な目安です。主治医の指示が最優先です。
- 症状が変わった/妊娠(希望)/他科で薬が始まった等は受診時に必ず申告を。
- 採血は通常TSH・FT4(必要に応じFT3)、エコーは結節・炎症の経過で調整します。
バセドウ病 /
橋本病(機能低下症) /
潜在性(サブクリニカル) /
無痛性/産後甲状腺炎 /
良性結節の経過観察 /
術後・RAI後(概略) /
妊娠を考える/妊娠中 /
受診の目安・要注意サイン
橋本病(機能低下症) /
潜在性(サブクリニカル) /
無痛性/産後甲状腺炎 /
良性結節の経過観察 /
術後・RAI後(概略) /
妊娠を考える/妊娠中 /
受診の目安・要注意サイン
1. バセドウ病(甲状腺機能亢進症)
| 状態 | 受診頻度の目安 | 検査項目の例 | 薬のポイント |
|---|---|---|---|
| 治療開始〜コントロール確立前 | 2〜4週ごと | TSH, FT4(±FT3), 肝機能, 血算 | 抗甲状腺薬の用量調整。咽頭痛・発熱は要受診(無顆粒球症疑い) |
| コントロール安定後 | 1〜3か月ごと | TSH, FT4(±FT3) | 徐々に減量。再燃サイン(動悸・手指振戦・体重減少)に注意。 |
| 寛解維持 | 3〜6か月ごと | TSH, FT4 | 中止後もしばらく経過観察。詳しくはこちら |
2. 橋本病(甲状腺機能低下症)
| 状態 | 受診頻度の目安 | 検査 | 薬のポイント |
|---|---|---|---|
| レボチロキシン開始直後〜用量調整期 | 4〜8週ごと | TSH, FT4 | 空腹時内服・鉄/カルシウム・PPI等の相互作用に注意。 |
| 安定期 | 3〜6か月ごと | TSH(±FT4) | 体重変化・妊娠・新規薬剤で用量見直し。 |
3. 潜在性甲状腺機能異常(TSHのみ異常)
| タイプ | フォローの目安 | 補足 |
|---|---|---|
| 潜在性低下症(TSH高・FT4正常) | 3〜6か月ごと | 症状・年齢・妊娠希望・脂質異常で治療検討。解説 |
| 潜在性亢進症(TSH低・FT4正常) | 3〜6か月ごと | 高齢・心房細動・骨粗鬆症リスクでは積極管理。 |
4. 無痛性/産後甲状腺炎
| 時期 | 受診頻度 | 検査 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 発症〜数か月 | 4〜6週ごと | TSH, FT4(±FT3) | 一過性の亢進期→低下期の遷延に注意。授乳中の薬は主治医と相談。 |
| 回復期 | 2〜3か月ごと | TSH, FT4 | 再発・持続低下のチェック。 |
5. 良性結節の経過観察(嚢胞・腺腫様甲状腺腫 など)
| 所見 | エコー間隔の目安 | 再評価のきっかけ |
|---|---|---|
| 良性と診断済み・安定 | 6〜12か月ごと | 急な増大・圧迫感・嗄声・嚥下違和感 |
| 嚢胞・出血後 | 3〜6か月 | 再増大・疼痛・感染徴候 |
6. 甲状腺がん 術後・RAI後(概略)
| 時期 | 受診頻度の目安 | 検査の例 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 術後1年 | 1〜3か月ごと | TSH, FT4, サイログロブリン(Tg), 抗Tg抗体, 頸部エコー | TSH抑制の強さは再発リスクで調整。 |
| 1〜5年 | 3〜6か月ごと | 上記+必要に応じCT/RI | 異常所見や自覚症状は早めに受診。 |
| 5年以降 | 6〜12か月ごと | Tg/抗Tg抗体, エコー | 術後フォローアップ詳細 |
7. 妊娠を考える/妊娠中
| 場面 | 受診頻度 | 検査 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 妊娠希望 | 1〜3か月ごと | TSH, FT4(±自己抗体) | TSH目標は主治医と共有。薬の切替・用量調整を事前に。 |
| 妊娠中 | 4〜8週ごと | TSH, FT4 | 妊娠期基準を用いる。つわり時の内服工夫。 |
| 産後 | 6〜12週で一度、その後は状況に応じて | TSH, FT4 | 産後甲状腺炎のスクリーニングも意識。 |
受診の目安・要注意サイン
- 高熱・咽頭痛・強い倦怠感(抗甲状腺薬内服中)
- 動悸・脈の不規則・息切れ・むくみ
- 著しい体重変化、強い不安/不眠、抑うつ、集中困難
- 妊娠(希望)・授乳・新規薬の開始(鉄・Ca・PPI・抗凝固薬など)
- 頸部の急な腫れ・痛み・嗄声・嚥下障害
※本表は患者さん向けの一般的な目安です。年齢・合併症・妊娠・他科治療により個別に変更します。
不安な症状がある時や、薬の変更・検査の予定に迷う時は、受診前にお電話でご相談ください。
👨⚕️ この記事の監修医師
下山 立志(しもやま たつし)
しもやま内科 院長/日本内科学会 総合内科専門医/日本糖尿病学会 専門医・指導医/日本循環器学会 循環器専門医/日本老年医学会 老年病専門医・指導医/日本甲状腺学会 甲状腺専門医
しもやま内科 院長/日本内科学会 総合内科専門医/日本糖尿病学会 専門医・指導医/日本循環器学会 循環器専門医/日本老年医学会 老年病専門医・指導医/日本甲状腺学会 甲状腺専門医