妊娠中の甲状腺検査と治療の目安|TSH/FT4/抗体で判断する紹介アルゴリズム(産婦人科の先生方へ)|しもやま内科

🔊 このページの要点(妊娠中の甲状腺:紹介アルゴリズム)

  • TSHとFT4で「顕性/潜在性」機能異常をまず分類し、必要に応じて抗体(TPOAb/TgAb/TRAb)を追加します。
  • 顕性甲状腺機能低下症(TSH高値+FT4低値)は原則早急に補充療法+専門医連携が推奨されます。
  • TSH低値の場合は、妊娠悪阻に伴う一過性中毒症とバセドウ病の鑑別が重要で、TRAbが鍵になります。


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(妊娠糖尿病・甲状腺・妊娠高血圧などの初期対応一覧)

産婦人科の先生方へ(船橋市周辺):妊娠中の甲状腺評価・治療連携
しもやま内科では日本甲状腺学会 甲状腺専門医が、妊娠中の甲状腺機能異常(低下症/バセドウ病/抗体陽性)に対応します。
まずはお電話でご相談ください:☎ 047-467-5500 FAX:047-467-7500

妊娠中は甲状腺ホルモン需要が増え、TSH/FT4の基準や解釈が非妊娠時と異なります。
本ページは、TSH・FT4・抗体から「追加検査」「紹介の目安」「治療開始の考え方」を1ページで確認できる実務用アルゴリズムとしてまとめています。

まず行う検査:TSH+FT4(必要に応じてFT3)

  • 基本:TSH+FT4(妊娠週数と自施設/検査会社の妊娠基準範囲があればそれを優先)
  • TSH低値で中毒症が疑わしい場合:FT3(T3優位型の評価)
  • 抗体:低下症→TPOAb/TgAb 中毒症/既往→TRAb(重要)

📄 甲状腺評価 連携チェックシート(初期評価用・2枚構成PDF)

妊娠中・産後の甲状腺評価(検査値・症状・紹介目的)を
チェック式で整理し、紹介時に共有できます。


チェックシート(PDF)を開く

基準値の注意:妊娠中のTSH上限は「妊娠週数・地域・測定法」により変動します。
妊娠特異的基準がない場合、国際ガイドラインでは上限を一律に低くしすぎない方針も示されています。判断に迷う場合は、TSH/FT4の組み合わせ抗体を含めて専門医へご相談ください。

アルゴリズム:TSHで分岐 → FT4で確定 → 抗体で原因/胎児リスク評価

入口(TSH) 次の一手(FT4/FT3) 抗体・鑑別 紹介/治療の目安
TSH高値 FT4を確認
・FT4低値 → 顕性低下症
・FT4正常 → 潜在性低下症
TPOAb/TgAb
(橋本病の評価)
顕性低下症:原則、早急に補充療法+専門医連携
潜在性:抗体陽性/TSH高値持続/既往/不妊治療/症状などで治療・紹介を検討
TSH低値 FT4(必要ならFT3)
・FT4高値/FT3高値 → 甲状腺中毒症
・FT4正常 → 潜在性甲状腺機能亢進(経過観察が多い)
TRAb(バセドウ鑑別/胎児リスク)
悪阻が強い場合は妊娠一過性中毒症との鑑別
FT4高値:バセドウ疑いなら早期紹介(治療要否判断)
TRAb高値:胎児・新生児甲状腺機能のリスク評価のため連携推奨
TSH正常域(症状あり) FT4/FT3、貧血・悪阻・心疾患など鑑別
(妊娠中は症状が非特異的)
既往があれば抗体や過去データ確認 症状が強い/既往あり/治療中なら連携推奨

低下症:顕性 / 潜在性の考え方(妊娠中)

  • 顕性甲状腺機能低下症:TSH高値+FT4低値(またはTSHが著明高値)
  • 潜在性甲状腺機能低下症:TSH高値+FT4正常
  • 抗体(TPOAb/TgAb)陽性:妊娠転帰・進行中の機能低下リスクを踏まえ、より慎重にフォロー

当院に紹介いただきたいケース(低下症)
・TSH高値が持続(妊娠週数に応じて上昇)/FT4が下がる
・既にレボチロキシン内服中で妊娠判明(用量調整が必要になりやすい)
・TPOAb陽性でTSHが高め/不妊治療中/流産既往など
・倦怠感・浮腫など症状が強い、または合併症(妊娠高血圧など)を伴う

亢進症・中毒症:バセドウ病か、妊娠一過性か(TRAbが鍵)

  • TSH低値+FT4高値なら中毒症。悪阻が強い場合は一過性中毒症も鑑別。
  • TRAb陽性ならバセドウ病を強く疑い、胎児リスク評価が必要になることがあります。
  • バセドウ病治療中/既往(手術・RAI後含む)は、妊娠中期以降の胎児評価のためTRAbが重要です。

当院に紹介いただきたいケース(亢進症)
・TSH低値でFT4/FT3高値(治療要否・薬剤選択の判断が必要)
・TRAb陽性(胎児・新生児甲状腺機能異常のリスク評価)
・バセドウ病の既往(手術/RAI後含む)で妊娠中のフォローが必要

ご紹介・ご相談(産科の先生方へ)

しもやま内科(甲状腺内科)
TEL:047-467-5500 FAX:047-467-7500
「妊娠中の甲状腺(TSH/FT4/抗体)で相談」とお伝えください。

当院で可能な検査・対応

  • 採血:TSH、FT4、FT3、TPOAb、TgAb、TRAb など
  • 甲状腺エコー:当日実施可
  • 細胞診(FNA)が必要な場合:連携医療機関へ紹介

紹介状テンプレ(産婦人科の先生方向け)

妊娠中の甲状腺(TSH・FT4・抗体)評価でご紹介いただく際の、診療情報提供書テンプレ(Word)です。
必要項目を埋めて、FAX送付いただけます。


▶ 紹介状テンプレ(Word)をダウンロード

送付先:FAX 047-467-7500 / お問い合わせ:TEL 047-467-5500

👨‍⚕️ この記事の監修医師

下山 立志(しもやま たつし)
しもやま内科 院長
日本内科学会 総合内科専門医
日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医
日本循環器学会 循環器専門医
日本老年医学会 老年病専門医・指導医
日本甲状腺学会 甲状腺専門医
糖尿病、甲状腺、副腎など内分泌疾患の診療に長年従事し、地域密着型の総合内科医として診療を行っています。

参考文献:

妊娠中の甲状腺管理(TSH参照範囲の考え方、TRAbの胎児リスク評価など):ATA 2017
妊娠・周産期の甲状腺管理の概説(日本語):J-STAGE(吉原 2018)
妊娠前後の潜在性機能異常に関する日本甲状腺学会資料(2025)

29/12/2025